経験豊富なワイン好きの方と楽しむ1本には、2つの「珍しさ」で勝負してみませんか。なかなか手に入らない「RARE(レア)」と、まだその品質の高さが知られていない「MINOR(マイナー)」です。詳しい人であっても未経験かもしれない、驚きに満ちたシャンパンを厳選してご紹介します。あなたを通した新しい出会いこそが、ワイン通をうならせる最高のプレゼントです。
ワイン通を唸らせる1本とは
ワインを愛してやまないご友人と、1本ずつ持ち寄りで飲むことになりました。あなたならどんなシャンパンを持参しますか?
高品質なワインであることは大前提。その上で「レア」か「マイナー」なものを選ぶことで、相手を「おっ!よく見つけたね」と喜んでもらえることでしょう。
ワイン通相手に「無難」は要らない
全てのワインの愛好家は、「いろいろなワインを飲むことを楽しんでいる」と言い切っても差し支えないでしょう。
他のお酒に比べてワインの特徴は、圧倒的に種類が豊富であることです。一生かかっても飲みつくせない様々なワインとの出会いを楽しんでいる方が多いです。たとえ同じ銘柄を繰り返し飲む人であっても、ヴィンテージごとの差や、熟成による変化を楽しんでいるはずです。
そんな愛好家の方を満足させるワインを選ぶとなると、難しく感じがちです。しかし実際はそこまで悩む必要はありません。その豊富な経験から楽しめる味わいの幅が広いので、様々なスタイルを受け入れられるからです。たとえ好みのタイプでなくても、「自分では選ばない味だからいい経験になる」と感じるものです。
好みに合わないことを恐れる必要はありません。ただし避けるべきものがあります。安くて低品質なワインや、コンディションの悪い劣化ワインはもちろんNG。さらにその人が何度も飲んだことがあるであろう、無難でどこにでもある銘柄は、ガッカリさせてしまうかもしれません。
「おぉ!」と言わせる2つの「珍しい」
これまでに数々の銘醸ワインをたくさん飲んできた愛好家の好物は「珍しい」ワインです。その「珍しい」には2種類あります。
1つは「RARE」希少価値が高く、多くの人が捜し求めるワインです。評価が高くて愛好家なら名前は知っているものの、生産量が少なく入手しづらいワインはたくさんあります。だからといって特別高価だとは限らず、タイミングや運次第で購入できるものもあります。だからこそ「よく手に入ったね!」と喜んでもらえるでしょう。
2つ目は「MINOR」あまり知られていないワインです。こちらは生産量が少なかったとしても入手しやすいです。その代わり愛好家が満足する美味しさ・品質を見極める目利きが問われます。だからこそ「よく見つけたね!」と感心してもらえるはずです。
熟成による「珍しい」も
飲み頃に熟成したワインというのも、持参すればみなに喜んでもらえる「希少な」ワインです。特にバックヴィンテージが滅多に出回らないワインだと、自分で買って寝かせるしかないので、多くの愛好家が「飲んでみたい!」と思うでしょう。
数年後、十数年後に楽しむためにワインを貯える。さらにその飲み頃を判断できる。簡単ではないからこそ、そんな1本はワイン会の主役になり得ます。
高品質でも「MINOR」な理由とは
品質が見合わず名前が広まらないケースは想像しやすいですが、驚くほど美味しいのに無名ということはあるのでしょうか。
一つは「まだ」名前が知られていないだけというもの。生産量の少ないシャンパンが1年に輸入される本数はせいぜい数百本。口にできる人数は限られます。どれだけ美味しくとも、それがワイン好きの間に広まるには数年を要するのです。
あるいは王道から外れたスタイルであること。珍しい品種や醸造法を採用しているキュヴェです。その生産者にとっては意欲的な1本であっても、消費者にとってはよく分からないゆえに手に取りづらい場合もあります。そういう変わったものも、ワイン通のオタク心をくすぐります。
小難しさもエッセンス
ワイン通相手に開けてすぐ直感的に美味しいことは必須ではありません。抜栓から美味しくなるまで少し時間がかかるのも、ワイン通ならその変化を楽しめます。さらにワインをより美味しく感じさせる情報・ウンチクも好物です。
新しくオープンした飲食店でも、「有名な〇〇で修業していた」などがあれば期待が高まるもの。
無名な若手生産者であっても、有名生産者との関係やコンサルタント、あるいはワイン造りへのこだわりなどの情報はプラスになります。味わっている最中でも「なるほど、だからこんなに美味しいんだ」と納得したい気持ちがあるからです。
ワイン初心者であれば小難しく感じさせてしまうような背景知識や造り手のストーリー。それも愛好家にとっては好ましいエッセンスです。
少量生産のRMシャンパン
「RARE」にせよ「MINOR」にせよ、自社畑のブドウからつくるレコルタン・マニピュラン(RM)形態の生産者に注目しましょう。小規模だからこそ、品質にこだわった上で畑や生産者の個性を表現したシャンパンをつくってこそ、生き残ることができます。
発売の度に争奪戦が繰り広げられるような「RARE」なシャンパンも、数年~十数年前は知る人ぞ知る「MINOR」なシャンパンでした。その美味しさに愛好家が気づき、市場から瞬く間に消えることが更に注目を集める要因となり、希少品となっていったのです。
ということは現在は「知る人ぞ知る」なシャンパンの中に、10年後には入手困難になっている銘柄もきっとあります。そんな未来のスターを発掘することを、ワイン仲間と分かち合ってみてはいかがでしょうか。
2つの「珍しい」で選ぶおすすめシャンパン
先述の2つの「珍しい」に従って、Epicurean Paletteで取り扱うおすすめシャンパンをご紹介します。
ただし本当に「RARE」なシャンパンは、入荷と同時に完売してしまうことも少なくありません。出会えた時が買い時となる、一期一会のワイン選びの参考としてご覧ください。
飲みつくすのは至難の業
フレデリック・サヴァールのつくるシャンパンには、まず直感的な美味しさがあります。ベースワインを樽発酵していることによるボリューム感と深い果実味、そして美しい酸味が共通してあります。その上で区画ごとに醸造することでテロワールを表現しています。
需要が供給を圧倒的に上回っており、毎年輸入元に入荷する時点で、卸先ごとに割り当て数が決まるような人気です。それゆえ全部のキュヴェを一通り飲むのは至難の業。ヴィンテージによる違いもあります。「飲みたいけれども手に入らない」というワイン好きは多いはずです。
シャンパーニュの「奇才」の味を
ルクレール・ブリアンのオーナー醸造家はエルヴェ・ジェスタン氏。シャンパーニュにおけるビオディナミ農法の先駆者であり、デュヴァル・ルロワを一流生産者に押し上げ、様々なワイナリーでコンサルタントを務めてきました。
「発酵は地球、宇宙の情報をワインに移す作業と言える」と、独特としか言えないような考え方でつくられています。レシュール・アンテナでワインのエネルギーを測定するなど、他の生産者が話すこととは違い過ぎて理解が追い付きません。ワイン好きの方となら、その常識を超えた思想も含めて楽しめるでしょう。
元クリュッグ醸造責任者という期待感
上記2軒に比べると、知る人ぞ知る存在と言えます。しかしクリュッグの元醸造責任者という経験からは確かな期待を持てます。さらに特級アンボネイ村の村長を務めていることから、周りの生産者も認めるシャンパンをつくっていることが分かります。
RMの生産者らしい区画ごとのリリース。多くの種類をつくるので、1種類ごとの生産量はかなり少ないことが推測されます。ワイン通であっても「このキュヴェは飲んでなかったな」となるはずです。
樹齢80年のシャルドネが生む深み
コート・デ・ブランの特級村でありながら、単独で名が冠されることの少ないマイナーな「オワリィ村」。それだけでも珍しいのに、最長樹齢80年という驚異的な古樹のシャルドネを100%使用しています。
凝縮感のある果実味は、一口目から直感的な美味しさを訴えかけてきます。「どうしてこれまで、誰も日本に入れてこなかったのか」品質の高さと知名度の低さのギャップに驚くことでしょう。
新しい物好きは大注目
このジョゼ・ドントが日本に輸入され始めたのは2025年のこと。本当に新入荷であり、知る人が少ないのも頷けます。
しかしオジェを中心としたグランクリュのシャルドネという点だけでも、十分な品質が保証されています。瓶内熟成72か月というのはRMとしては長く、フラッグシップワインだからできること。長期熟成されたシャルドネによる、リッチで深みのある旨味が魅力です。
生産規模が必要な長期熟成
ここまでRMがつくるワイン主体でご紹介してきましたが、もちろん他にも珍しいワインはあります。ブランドの知名度以上に、その中身(熟成期間)の価値が突出しているのがこのガルデです。これほど長期間の熟成シャンパンをつくるのは、規模の小さいRMでは資金繰りの関係で困難で、NMだからこそ可能なことでしょう。
ワインに慣れた方であっても「2000年!?すごいね」となるはず。長期熟成による酵母由来の豪華な風味となめらかな泡感は格別です。
オタク心をくすぐる1本
探求心の強いワイン通ほど、こういう「珍しい」にテンションが上がるでしょう。
シャンパンのブドウ品種といえばピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネ。これが一般的な常識です。
しかし実は、シャンパーニュ地方では他に4つの品種(※)が許可されています。ワインエキスパートなどの勉強をされている方ならご存知でしょうが、実際に7品種を全て味わえるシャンパンは非常に稀です。しかもちょっとだけのブレンドではなく、14%ずつの均等ブレンドというのは、なかなか他にないでしょう。
※近年、新しい品種「ヴォルティス」が許可されて8種類になりました。
ナチュラルシャンパーニュに驚ける?
この珍しさに驚ける人は、シャンパンの製法にかなり理解のある人です。
ワインがなるべく自然な姿であるように、ビオディナミ農法を実践。天然酵母で発酵させ、無濾過・無清澄、亜硫酸無添加でつくる。ワインであれば時折見かけるようになりました。しかしシャンパンではあまり考えられません。
というのもシャンパンは濁りがあると泡立ちがきれいに出ません。そのため瓶内2次発酵の際に、酵母や糖分とともに清澄剤を入れるのが普通なのです。それによりきちんと澱引きができるのです。
それゆえ無濾過・無清澄でつくるシャンパンというのは、市場で見かけることは極めて稀有です。
このシャンパンに感じる非常にジューシーなフルーツ感。それはひょっとすると亜硫酸無添加によるものかも。ここまで話せる方との場にこそ、この珍しいシャンパンはピッタリです。
BYO:ワイン通として楽しむコツ
ワイン通の友人と珍しいワインを楽しむなら、どちらかの自宅もいいですが、レストランに持ち込みするのもおすすめです。
BYO、Bring Your Own (Bottle)とは、飲食店にワインなどを持ち込んで楽しむことです。
経験がない、できることを知らなかったという方はぜひご覧ください。BYOの手順やマナー、美味しく楽しむコツをご紹介します。
BYOをする目的
とっておきのワインだからこそ、最良な状態で楽しみたい。また特別な1本だからこそ、大切な人と感動を共有したい。
友人・知人を自宅に招くより、レストランで集まる方が、いろいろなハードルが低いでしょう。グラスの選択や温度調整などをプロに任せられ、上質な料理と一緒に楽しめるのが、ワイン持ち込みの大きなメリットです。
レストランが在庫しておけるワインの種類は限られます。フレンチやイタリアンであっても、今回のような「レア」「マイナー」なシャンパンに必ずしも出会えるとは限りません。シェフの料理にあわせて好きなワインを味わえるというのも、ワイン持ち込みの醍醐味です。
BYOの手順とマナー
まずはBYOできるお店を探しましょう。持ち込み可能かどうかは予約時に確認します。当日に突然持ち込むのではなく、予約時に事前相談するのが大人のスマートな作法です。
「ワインの持ち込み歓迎です」とホームページなどに表記しているお店は少ないです。しかし電話で聞いてみるとOKであることも多いです。
フレンチやイタリアンのような業態はもちろん、ワインに力を入れている和食や中華などでも、可能なお店は多いでしょう。一方でワインバーなどは難しいかもしれません。
その際に持ち込み料、抜栓料を支払います。その金額は客単価により様々ですが、1本あたり2000~5000円程度であることが多いでしょう。
場合によってはそのワインを事前に預けておくことも検討しましょう。
例えばシャンパンなら冷えた状態の方が美味しいですし、食事の前半に飲まれることが多いです。シャンパンのポテンシャルを最大限に引き出すための温度管理を考慮すると、その場で常温のものを持ち込んでもスムーズに楽しめません。
やむを得ない場合は、お店のドリンクを1杯注文して、その間に温度調整してもらうのもスマートです。
いずれにせよ大切なのはスタッフとのコミュニケーションです。事前によく相談しておくことで、お互いに気持ちよく持ち込みワインを楽しめます。もしそのお店のマスター、大将がワイン好きなら、1杯勧めてみるのもいいかもしれません。
持ち込み料の意味
ワインを開けてグラスと提供するだけで5000円と考えると、高いと感じるかもしれません。しかしそれは考え方が違います。ワインの持ち込みがなければ、そのお店がドリンクから得られただろう利益。それが持ち込み料なのです。
コース料理の設定金額がある程度高く、それで十分な利益を確保できているお店なら、BYO歓迎で持ち込み料も安い傾向にあります。逆にワインが売り上げの主体であるワインバーなどは、持ち込みを断るところが多いのです。
鼻と舌だけでなく脳で味わう楽しさを
直感的な美味しさだけでなく「珍しさ」を楽しむことができるのは、ワイン通、美食家の特権です。これまでに王道ワインを数多く経験してきたからこそ、その「珍しさ」という付加価値を深く理解できるからです。
それは鼻と舌による直感的なものに、造り手のストーリーや背景といった情報がスパイスとして加わるのです。
ワイン通の間で噂になっていて、飲んでみたいけれどなかなか手に入らなかったシャンパン。希少さに大いに期待して飲むからこそ、単なる美味しさ以上の満足度があります。
新しく日本に入って来た少量生産のシャンパン。品種や産地によるスタンダードな味わいを知っているからこそ、生産者のこだわりと味わいの個性が結びつく発見があります。
そんな風にワイン・シャンパンを楽しめる人は、そう多くはありません。だからこそワイン好きな相手の方にとって、珍しいワインをセレクトできるあなたの存在は希少です。きっと相手の方は帰り道、「〇〇さんには次このワインを飲んでほしいな」と考えていることでしょう。






