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ボランジェ(Bollinger)

ボランジェ 特集イメージ

大手シャンパンメーカーの中でも、特に骨太な味わいと高い品質で人気の「ボランジェ」。ピノ・ノワールの優良な畑を有し、家族経営でそれを守り抜く姿勢が信頼を集めています。他のメゾンと比較したボランジェのスタイルと、その多彩なラインナップをご紹介します。未来を見据えたその取り組みを知れば、風味により奥行きを感じるようになるかもしれません。

ボランジェの真価を詳しく読む

味わいの特徴とその理由

知名度が高く生産量も多い大手シャンパンメゾン。その中でもボランジェは、特に味わいが骨太でボリューミーなタイプです。これには醸造面におけるボランジェの選択とこだわりが詰まっています。

樽熟成による口当たりの滑らかさ

シャンパンのベースとなるワインを醸造する際、ステンレスタンクを用いた発酵・熟成が業界のスタンダードです。その方がコストが低く、ピュアでクリーンな味わいのシャンパンを造りやすいからです。

一方でボランジェでは、伝統的なオーク樽を用います。スタンダードこそ一部ステンレスタンクを併用しますが、上級シャンパンではすべて樽発酵・樽熟成です。新樽は使いません。オーク樽の香りをつけたいのではなく、木材を通した緩やかな酸化が狙いです。それが骨太で滑らかな口当たりにつながっています。

そのためにボランジェでは、専属の樽職人(クーパー)を雇い続けています。古くなって傷んだ樽も、その職人が修復して何十年と受け継いでいるのです。

ボランジェ 樽熟成

マロラクティック発酵による豊かなコク

マロラクティック発酵とは果汁中のリンゴ酸を乳酸に変える反応のこと。ブドウを早摘みするシャンパーニュでは、鋭い酸味を持つリンゴ酸濃度が高いので、マロラクティック発酵で酸味をまろやかにするのが一般的です。ボランジェでもマロラクティック発酵を実施しており、それがクリーミーなコクと飲みごたえにつながっています

例えばクリュッグやルイ・ロデレールなどは、ベースワインの樽熟成は行いますが、マロラクティック発酵はブロックするのがメインです。高い酸味による熟成ポテンシャルを狙ってのことでしょう。

それらと比較したとき、より重厚で落ち着きがある味わいなのは、この醸造方法による違いも理由の一つです。

ピノ・ノワールが主力

ボランジェがつくるすべてのシャンパンは、ピノ・ノワールが主体です。カシスなどのベリー系フルーツの香りとリッチな果実味は、ボランジェの醸造法とマッチし、そのボリューム感のある味わいを形成しています。ボランジェの本拠地であるアイ村は、ピノ・ノワールのグランクリュであることも、この味わいがボランジェのスタイルとなった由来でしょう。

ボランジェ ピノ・ノワール

時間をかけて楽しむ大人な夜に

ボランジェのような重厚な味わいは、少人数でゆっくり 1 本を味わう大人な時間にピッタリです。

このように重厚な味わいのボランジェは、パーティーにおける乾杯の 1 杯としてはあまり向いていないかもしれません。少量でも飲みごたえがあり、ゆっくり味わいたくなります。最初のグラスがなかなか空にならないのは、会の進行がやりにくくなるかも。ボランジェのリッチで飲みごたえのある味わいは、泡が抜けて来ても満足度が高いものです。一口一口余韻までしっかり味わうように、映画を見たり読書をしながら時間をかけて楽しむ。自宅でのそんなシーンにマッチします。

妥協なき姿勢を貫く家族経営

先述のような味わいを徹底した品質追及で造り続けるボランジェ。例えばモエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコに比べ、「どこにでも見かける」シャンパンではないでしょう。それはあえて、ワインの専門性があるところに販路を絞っているのでしょう。そうした品質追及が続けられるのには、家族経営を貫いていることが関係しているのかもしれません。

ボランジェの歴史

ボランジェは1829年、アイ村にて設立されました。1884年にはロイヤル・ワラント(英国王室御用達)の称号を授与され、それが格式高いシャンパンメゾンの地位を確立させる原動力となりました。

ボランジェの歴史で特に輝くのが、マダム・リリー・ボランジェの活躍です。第2次世界大戦中のナチス占領下に、当主であった夫を亡くすというメゾン存亡の危機。その中で彼女は指揮を引き継ぎます。彼女は戦時下にも、自身で畑やセラーを見て回り、徹底的に品質管理しました。さらにこの時期に優良な畑を買い足していきます。戦後は単身アメリカに渡り、各地でボランジェのプロモーションを行いました。長期熟成しながらフレッシュさを楽しめる、当時としては画期的なシャンパン「R.D.」をリリースしたのも彼女の代です。

彼女の残した言葉は、シャンパンにまつわる格言として、歴史に刻まれています。

「私は、幸せなときも、悲しいときもシャンパーニュを飲みます。一人でいるときは、シャンパーニュが私に付き添ってくれます。誰かと一緒にいるときは、シャンパーニュを飲むのが礼儀というものです。お腹が空いていないときはちょっと口をつけ、お腹が空いているときはもちろんしっかりといただきます。それ以外のときは、決してシャンパンには触れません。……喉が渇いていない限りはね」 ── マダム・リリー・ボランジェ

ボランジェ ラ・グラン・ダネ

家族経営ゆえの安定した品質追及

ボランジェは創業以来、家族経営を続けている大手メゾンです。こういった生産者は、ルイ・ロデレールやポル・ロジェ、ビルカール・サルモン、ローラン・ペリエなどが挙げられますが、そう多くはありません。

家族経営ではなく株式会社化すれば、資金調達で有利になります。投資を拡大しメゾンの規模を拡大する上では有効な選択です。一方で株主に利益をもたらすことが求められるため、非効率な製法には反対意見が出るかもしれません。その点で家族経営であれば、他からは口を出されずに品質追及ができます。それが悪い方に働いて停滞してしまうこともあり得るでしょう。しかしボランジェの品質と近年の取り組みを見れば、革新を続けていることが分かります。

未来へ繋がる取り組み

ボランジェはB Corp認証を取得しています。これは非常に取得が難しく、企業のステータスを示すものとして多くの尊敬を集めるものです。

B Corpはアメリカの非営利団体「B Lab」が認証しています。一般的な企業が株主の利益を最優先するのに対し、B Corpはすべての利害関係者、従業員や地域社会、顧客、地球環境に利益をもたらすことが求められます。オーガニック認証などと違い、企業活動のすべてが審査されるのです。ワインに関してなら、労働者の賃金や環境はもちろん、資材や輸送などの環境負荷軽減なども見られます。

ボランジェ B-Corp

他業界ではアパレルブランドのパタゴニアや、スキンケアのイソップなどが取得しています。シャンパーニュにおいては、現在パイパー・エドシックやシャルル・エドシック、レア、ジャカールとこのボランジェくらいでありごくわずかです。これは企業としての責任です。シャンパーニュの先人たちから受け継いできたものを後世へと残していく、未来へとつながるボランジェの取り組みの一つです。

ボランジェのラインナップ

ボランジェの基本ラインナップに加え、近年加わった特別なキュヴェや、当店未入荷の希少品もご紹介します。

メゾンの神髄が詰まった「スペシャルキュヴェ」

ボランジェのスタイルはスタンダードである「スペシャルキュヴェ」にもしっかりと現れています。初めてボランジェのシャンパンを飲むとすれば、間違いなくこの1本からです。

ボランジェ スペシャル・キュヴェ

ノンヴィンテージであるこのシャンパンには、リザーヴワインが使われます。ボランジェはそのリザーヴワインをマグナムボトルとコルク栓で熟成させることがこだわりです。これには相当な手間がかかりますが、ステンレスタンクによる保管より高品質であるという判断なのでしょう。ボランジェの上級シャンパンのほとんどはミレジメ・シャンパンです。ということはリザーヴワインはほとんどこのスタンダードキュヴェのためのものということ。それだけメゾンにとって大切なワインだということです。

偉大な年だけの「グランダネ」

「ラ・グラン・ダネ」というフランス語を訳せば「偉大な年」。その通りブドウの出来が素晴らしい年だけにつくられる、そのヴィンテージの個性を表現したシャンパンです。

ベースワインはすべて古樽発酵・熟成でつくられること、特級および一級のブドウのみからつくられること、ムニエを使用しないことがスペシャル・キュヴェとの違いです。

ボランジェ ラ・グラン・ダネ

ボランジェブランドの核と言える、高品質なピノ・ノワールと醸造による味わいのふくよかさ。それが存分に感じ取れます。それゆえ味わう際のポイントはブルゴーニュグラスを使うこと。より芳醇な香りと口当たりの厚みを感じられるでしょう。

長期熟成とフレッシュさの「R.D.」

「ラ・グラン・ダネ」と同じ原酒を、さらに長期間にわたり澱(おり)と接触させて、出荷直前に澱引きする。それが「R.D.」です。R.D.とは「Recently Disgorged」のこと。

長期間の瓶内熟成で、澱は分解され、旨味や酵母の風味となってシャンパンに戻っていきます。さらに澱は強力な酸化防止作用を持ちます。それゆえ十数年前に瓶詰されたシャンパンであっても、驚くほどフレッシュな風味を維持しているのです。

ハチミツやヘーゼルナッツ、ブリオッシュのような豪華な風味とともに、フルーツや花のフレッシュさも感じます。この相反するような風味の共存がR.D.最大の魅力です。豪華な風味ゆえ、R.D.はラ・グラン・ダネより少ないドサージュで出荷されます。そのコンセプトから、購入したらさほど時を置かずに飲むことをおすすめします。

ある程度生産量があるのでしょう。上級シャンパンでありながら割と安定供給されます。大切な取引先への贈り物など、絶対にがっかりさせてはいけないシャンパンが必要なとき。「ボランジェ」の高い知名度と「R.D.」の特別感は間違いないチョイスでしょう。

ボランジェ R.D.

ピノ・ノワールのテロワール表現「PN」シリーズ

近年スタートした「PN」シリーズは、ピノ・ノワールにおける産地とヴィンテージの個性をボランジェ流に表現する一期一会のシリーズです。例えば「PNTX20」なら、トーシエール(Tauxiere)村でとれた2020年のピノ・ノワールがブレンドの中心。他の村のブドウも使い、リザーヴワインもブレンドしますが、あくまでその個性を表現するお手伝いです。この前の年はPNVZ19でヴェルズネイでした。

ボランジェ PNシリーズ

産地とヴィンテージの特性を表現すべく、瓶内熟成の期間はボランジェとしては比較的短めです。このシャンパンの特性は一期一会。「同じヴィンテージは2度とない」というのはすべてのワインに言えることですが、同じ産地でつくられるのも次いつになるのかわかりません。毎年コレクションしたうえで、いくつもの「PN」シリーズを比較してみるのはいかがでしょうか。

様々なシーンに手堅いチョイス、ボランジェ

自宅でしっとりと時間をかけ、1人か2人で味わう。
数名のワイン会にて、赤ワインの後に締めのシャンパンとして開ける。
グルメな方へのお礼の品として、手堅く選ぶ

こういった様々なシーンにボランジェは活躍します。

大手メゾンで生産量があり、限定品を除けばある程度安定供給されます。なのにモエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコほどの「ありきたり」という印象はなく、硬派なイメージです。「ピノ・ノワールを主体にした、濃厚でどっしりなめらかな味わい」という明確なポジションがあります。それゆえ「どんな時にでも」とはならずとも、誰かの好みに合わせての判断をしやすく、ピッタリのシーンを選びやすいのです。

この機会にボランジェの美味しさとその使いやすさを再確認してみてはいかがでしょうか。

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